明日から、いや今夜からどうすればいいんだろう。食べ物も飲み物も、住むところさえない。当然、お金もない。
すると遠くから、スピーカーを通した声が聞こえた。
「津波はくり返しやってきます。歩ける方は今のうちに高台に避難してください。津波はくり返し――」
「……行かなきゃ」
僕は海を見た。黒くうねった膨大な水の塊は、悪意をもってこちらを狙っているように思えた。僕は力の入らない膝を叱咤し、内陸の方へ向けて歩き出した。
「毛布をどうぞ」
「配給は18時からです」
高台にある学校へ行くとそこは避難所になっていて、すでに大勢の避難者でごった返していた。命からがら逃げてきた人もいるようで、全身泥まみれの人もいる。水が止まってしまっているので洗い流すこともできず、とりあえずバスタオルで拭いたりしている。
体育館の中はすでにテントでいっぱいになっていて、足の踏み場もない。
「かずちゃん! かずちゃんはどこ!」
「お母さ~ん!」
「大丈夫、大丈夫だからね」
「ナマンダブ、ナマンダブ」
まだ混乱から立ち直っておらず、そこかしこで人々が右往左往している。学校関係者らしい人たちが声をかけているが、落ち着くのはまだまだ先だろう。
僕は体育館を出て、裏山に向かった。
すると遠くから、スピーカーを通した声が聞こえた。
「津波はくり返しやってきます。歩ける方は今のうちに高台に避難してください。津波はくり返し――」
「……行かなきゃ」
僕は海を見た。黒くうねった膨大な水の塊は、悪意をもってこちらを狙っているように思えた。僕は力の入らない膝を叱咤し、内陸の方へ向けて歩き出した。
「毛布をどうぞ」
「配給は18時からです」
高台にある学校へ行くとそこは避難所になっていて、すでに大勢の避難者でごった返していた。命からがら逃げてきた人もいるようで、全身泥まみれの人もいる。水が止まってしまっているので洗い流すこともできず、とりあえずバスタオルで拭いたりしている。
体育館の中はすでにテントでいっぱいになっていて、足の踏み場もない。
「かずちゃん! かずちゃんはどこ!」
「お母さ~ん!」
「大丈夫、大丈夫だからね」
「ナマンダブ、ナマンダブ」
まだ混乱から立ち直っておらず、そこかしこで人々が右往左往している。学校関係者らしい人たちが声をかけているが、落ち着くのはまだまだ先だろう。
僕は体育館を出て、裏山に向かった。

