クールな王太子は一途に愛を待ち続ける~夢灯りに咲く紫苑~

「気がついたか? レーナ?」

 レーナは見知らぬベッドの上でぼんやりと目を覚ました。
 傍らにはレーナの手を握って心配そうに顔を覗き込んでいるオスカーの姿があった。

「ここは……?」

 レーナが尋ねながら上半身を起こして辺りを見回す。
 頭さえぼうっとしていなければ今すぐ飛び起きていただろうと思うほど、広々とした豪華なベッドだった。
 使用人が軽々しく横になっていい場所ではない。

「フィンブル宮殿の中だ。いきなり倒れたけど大丈夫か?」
「はい」

 オスカーと花壇の前で話をしているときに、突然気を失ったことを思いだした。
 おそらく王太子である彼がここまで運んでくれたのだろうと考えたら、レーナは途端に申し訳なくなった。

「本当にすみません」
「気にしなくていい。君が無事ならそれで」
「前世の記憶が一気に流れ込んできたら、急にひどい眩暈がして……」

 小さな声で事情を話すレーナがいじらしくて、オスカーは無意識に彼女の頭をなでていた。