「桜和、心から愛してる」
煌太郎の胸に顔をうずめながら、桜和がそっと上を向いた。
「私も。心から煌太郎様をお慕いしています」
「仲のいい夫婦になろうな。幸せに暮らそう」
「はい」
煌太郎は満足そうに微笑み、小さくてぷっくりとした桜和の唇に口づけをした。
ふたりには輝かしくて幸せな未来が待っている。
そう信じて疑わなかった。――――このときまでは。
この社交界から十日が経ったころ、桜和は予知夢のようなものを見て目が覚めた。
布団の上で上半身を起こすと、額に汗が滲んでいる。
とても嫌な夢だった。両親と三人で辺りを気にしながら荷物を抱えて逃げる夢……。
だけどそれ以上はわからない。なぜそうなったのか、どこへ逃げているのか。
おそらくなにか嫌なことが近々起こるのだろう。
そうなる前に食い止めねばと思っていたのだが、その日の夜、阻止できずに現実のものとなる。
そろそろ就寝しようとしていたころ、桜和の父である江蔵が住み込みの使用人を含め全員を居間に集めた。
煌太郎の胸に顔をうずめながら、桜和がそっと上を向いた。
「私も。心から煌太郎様をお慕いしています」
「仲のいい夫婦になろうな。幸せに暮らそう」
「はい」
煌太郎は満足そうに微笑み、小さくてぷっくりとした桜和の唇に口づけをした。
ふたりには輝かしくて幸せな未来が待っている。
そう信じて疑わなかった。――――このときまでは。
この社交界から十日が経ったころ、桜和は予知夢のようなものを見て目が覚めた。
布団の上で上半身を起こすと、額に汗が滲んでいる。
とても嫌な夢だった。両親と三人で辺りを気にしながら荷物を抱えて逃げる夢……。
だけどそれ以上はわからない。なぜそうなったのか、どこへ逃げているのか。
おそらくなにか嫌なことが近々起こるのだろう。
そうなる前に食い止めねばと思っていたのだが、その日の夜、阻止できずに現実のものとなる。
そろそろ就寝しようとしていたころ、桜和の父である江蔵が住み込みの使用人を含め全員を居間に集めた。



