クールな王太子は一途に愛を待ち続ける~夢灯りに咲く紫苑~

「ほら、髪も肌もつやつや。美人だから和装も洋装も似合う」

 煌太郎は両手で桜和の手をとって愛おしそうになでた。
 それを見た母親は、ぎょっとして眉をひそめる。

「いい加減になさい。はしたない」
「桜和とは結納を済ませたから、もう妻も同然だ。これくらいかまわないと思うけど」
「私はね、まだあなたたちの婚約を認めていないの。予言まがいな夢の話をする嫁なんて気味が悪くて仕方ないわ」
「なんてこと言うんだよ!」

 今度は煌太郎が嫌そうに顔をしかめた。
 それを見た桜和はすぐさま煌太郎の服の袖を引っ張って合図を送る。
 あまり桜和をかばいすぎると、母親はさらにヘソを曲げてしまうだろう。

「ほかにも素敵な令嬢はたくさんいるし、煌太郎なら引く手あまたなのに。まったく……我が息子ながらあきれる」

 母親はフンッと鼻をならし、やっていられないと言わんばかりにふたりから離れていった。

「お義母さま……ずいぶん怒っていらっしゃったわ」
「大丈夫だよ。気にしないで?」
「このドレス、地味だったでしょうか?」

 小さな声で問いかける桜和に、煌太郎は首を横に振った。

「そんなことない。言っただろう? 桜和は世界一綺麗だよ」
「ありがとうございます。どの色のドレスにしようか迷ったんですが、煌太郎様にいただいた紫苑(しおん)の花の色を思い出して、これに決めました」

 照れて恥ずかしそうに笑みを浮かべる桜和の姿がかわいくて、煌太郎はこの場で抱きしめたくなったが、なんとかその衝動を抑えた。