クールな王太子は一途に愛を待ち続ける~夢灯りに咲く紫苑~

「ほかにはどんな夢を?」
「いつも一瞬の場面だけで繋がっていないんですけど、どこか異国の風景が出てくるときもあって……」

 ふざけた話だとそっぽを向かれそうな気がして、最後は尻すぼみになった。
 しかしオスカーは、バカバカしいとあきれることなく真剣に耳を傾けている。

「もしかして、そこでは髪も瞳の色も黒じゃなかったか? 服装は前合わせの“着物”と呼ばれる衣を着ていた?」
「そのとおりです。夢に出てきた使用人の女の子が“まがれいと”という髪型の名前を言っていました」
「やはりそうか。レーナ、一緒に来てくれ」

 なにかまずいことを口にしただろうかと、レーナは不安になって眉尻を下げた。
 オスカーの表情を見る限り、ウソをついているとは思われていないみたいだが。

「こっちだ」

 レーナはどこに向かうのかわからないまま、オスカーの後ろをついて行った。
 シルヴァリオン宮殿の正面広場を通り過ぎたオスカーは、どんどん王宮内の東側のエリアへと進んでいく。

「あの、ここは……私が立ち入っていい場所ではありません」

 足を踏み入れたことはなくとも、レーナはこの先になにがあるのかわかっていた。
 王太子が結婚後住む予定にしているフィンブル宮殿だ。