クールな王太子は一途に愛を待ち続ける~夢灯りに咲く紫苑~

 先ほどのことは決して見過ごせない王宮内での一大事件だ。
 オスカーの身に危害を加えようと企む者がいるなら、即刻捕まえなければならない。
 それに、ルシアンはオスカーの最側近としての責任がある。

「犯人は……単純に俺に恨みがある者か、誰かに指示をされて犯行に及んだか」
「……指示、ですか」

 王太子のグラスに毒を入れて殺めるなどという大それたことを、果たして誰かがひとりで計画して実行したのだろうか。
 複数の人間が絡んでいてもおかしくないと、オスカーは頭の中で思考を巡らせた。

「王子は俺だけだからな。王室を根絶やしにと考えたのかも……」

 なにか糸口をつかんで、そこから芋づる式に捕まえていったとき……最後にたどり着く人物は誰なのか。

「とにかく、まず使用人たちに聞き取り調査だ。どうせ宴は中止になっているはずだし、料理人や給仕係はみな戦々恐々としているだろう」
「承知いたしました。早急に動きます」

 ルシアンはていねいに一礼し、颯爽と部屋から出て行った。
 ひとりになったオスカーは、あらためてレーナの夢の正確さに感心し、命を救われたことに人知れず感謝していた。