『告白なんてすごいじゃん! で、どうしたの?』
『断ったに決まってるでしょっ。ありがたかったけど、私は景が好きなんだもん……』
幼稚園からの付き合いで、今では親友のユキとは、よくビデオ通話で話していた。
ユキは景と同じ中央高校に通っていて、学校での景のことを教えてくれた。
『景はまた告白されたりしてるの? なにか言ってたりする?』
『ああ、告白は日常茶飯事みたいよ。つってもあたしは特進科だし、桜葉と話す機会はほぼないんだけどねぇ』
春から高校生になった景は、入学早々やっぱりいろんな女の子に告白されているらしい。
『あー、あと。桜葉と同じくらいイケメンでモテる人がいてね。あっちは女慣れしてそうな軽い感じなんだけど』
『へー』
『わっかりやすいわねぇ。あんたは本当に桜葉一筋なんだから』
そりゃあ、片思い歴は長いですから。
アメリカで生活するようになって、男子ともよく話すようになったけど。
一緒にいて楽しいし、友達として好きだけど、それは好きな人に向ける感情じゃない。
『……景、いまの私を見たらどう思うかなぁ。私なんかでも少しは可愛いって……意識してくれるかな』
『ちょっとちょっと、また出てるわよ自己肯定弱い杏が。あんたはすごく可愛くなったし、もっと自信を持ちなよ』
『そりゃあ、前よりはあるよ……自信。死ぬほどダイエット頑張ったし……』
ぶつぶつと言った私に、ユキは画面の向こうでため息をついた。
『ならそろそろ、桜葉ともビデオ通話してみれば? この二年、ずーっと電話だけなんでしょ』
そう言われて、うっとなる。
ユキの言うとおり、景とのやり取りは電話だけだった。
日本に帰る機会もなく、この二年は本当に音声だけで交流していたのだ。
変わった姿を見せるのは、直接会ってがいい。
変なこだわりだと思われても、そこはゆずれなかった。
『ま、桜葉ってほんとに恋愛とかに興味なさそうだし。このままいけば、杏が恋の相手になったりするんじゃない?』
『ええ!? そう簡単に、いくかなぁ……』
『なに驚いてんのよ。幼なじみがとびっきり綺麗になって帰ってきて、そんで好意を寄せてきたら少しは意識するでしょ』
私だって期待していないわけじゃない。
今の私ならもっと堂々と景に向き合うことができるし、前とは違う姿に気持ちが揺れたり……とか……あるかもしれないし?
『漫画みたいな展開に、なったりしたらどうしよう……!』
『でた、少女漫画脳。でもめでたいじゃん。あたしはそうなる可能性のが高いと思うけど、いまの他人に無関心な桜葉を見てるとさ』
住む場所は離れても、景と一番近しい関係は私。
ユキにも断念されて、私は少々浮かれてしまっていた。
これが、高校一年生の春のことだった。



