お邪魔虫にハッピーエンド



 そう考えたら急に怖くなってきた。

 こんな姿のまま、私は景に告白してもいいのかな。
 だって、気持ちを伝えてしまったら最後、今までの幼なじみという関係から変わるかもしれないのに。

 変わるというのは、結ばれるからということじゃない。

 景は、私を家族のように思ってくれている。

 そこに恋心はまったくなくて、たぶん告白しても私は振られるに違いない。

 そうだって気づいているのに、太ったままの何の努力もしていない今の私で、気持ちを伝えてもいいの……?

 やっぱりまだ……だめだ。

 せめて、自分に自信が持てるようになるまで。
 誰が見ても恥ずかしくないと思えるぐらい、自分を磨きあげるまで。

 この気持ちは伝えないと、そう心に決めた。


 ――そして、中学二年の夏。

 私は日本を離れて、そこから約二年半をアメリカで過ごすことになった。

 慣れない場所での生活は大変なことばかりだった。
 それでも変わると決めた私は、ひとつずつ自分を変えていく努力をした。


 まずは、人見知りで引っ込み思案な性格を直そうと思った。

 アメリカのスクールは、自分の意見をはっきり伝えることが当たり前で、気弱な子は浮いてしまう。

 ほとんど英語が喋れなかった私だけど、それでも話すように意識をした。

 はじめは私なんかが自己主張をして大丈夫なのかなと不安になったけど、少しずつ慣れていって。

 得意ではないけれど、社交性を身につけることができていった。

 まあ……真の陽キャにはなれなくて、内心ではうじうじとしてしまうこともあったけど。

 仲間はずれにされ、陰口を言われて背中を丸めていた頃の私と比べると、かなり変わったと思う。



 次に変えたのは、体型。

 いち早く痩せたくて仕方がなかったけど、そう簡単にはいかない。

 バランスのいい食事、健康的な運動を毎日地道に繰り返していって、少しずつ体重を落としていった。

 くじけそうになったときは、景と再会するときのことを考えてモチベーションを維持して。

 あとは変わらず読み続けている少女漫画の世界に浸り、いつか私も……と妄想して乗り越えたのである。


 美容にも気をつけて、月に一回、多くて二回の美容室でのトリートメント。

 紫外線に気をつけるためいつも日焼け止めは持ち歩いて、太りにくい体にするためストレッチやマッサージも欠かさなかった。


 そんな生活を二年間続けた結果。


『……アン、よかったら俺と付き合わない? ずっと魅力的だなって思ってたんだ』


 体も軽くなって、洋服を決めたり、メイクをしたり、オシャレが楽しくなったと感じるようになったとき。

 同級生に告白されることが多くなった。

 周りから見ても私は変わったのだと、少しずつわかるようになっていった。