ちゃんと17時までに帰宅した。さらに灰慈くんと一緒なので幸福度がたかまった。ママはお兄ちゃんたちの習い事の送迎で、パパはお仕事で遅くなる曜日なので、ちょっと、しょんぼりしていたけれど、灰慈くんはわたしと一緒にお留守番してくれるらしい。
灰慈くんが宿題を手伝ってくれたのでやっぱり幸せ度が増した。
宿題がすべておわると、灰慈くんはごろんとソファーに横になった。
『ふみの家来たら眠くなるんだよな』
灰慈くんの二重の瞳がまどろんでいる。灰慈くんは、騒がしいお兄ちゃんや、虫ばかり追い掛ける同じクラスの男子とはちがい、活発な方ではない。静かで、落ち着いて、やわらかい人だ。
『寝る?毛布あるよ』
『ン、ちょっと寝る……』
灰慈くんの声が甘だるく溶けていく。本当に眠りそうだ。
『ふみも一緒に寝る?』
灰慈くんはゆるく片腕を上げて、毛布を開けてくれた。幸せへの入口だ。
『ううん、ふみは元気だもん!塾の宿題終わらせる』
『そ。じゃあ10分くらい経ったら起こして』
そういうと、灰慈くんは目を閉じた。部屋が再び静寂に包まれる。背後から寝息を感じて、そっと後ろを覗き見た。



