可愛い服を買ったら、早くこれを着て灰慈くんに会いたいと思う。
可愛いコスメを買ったら、早く新しいメイクを覚えて、灰慈くんに会いたいと思う。
可愛い髪型を覚えたら、崩れないうちに早く灰慈くんに会いたいと思う。
これはわたしにとっての普通。地球が自転しながら公転しているように当たり前のことで、そのどちらかが止まったら世界がおかしくなる。
◝✩
「ふみは低燃費でいいよね」
週明けの昼休み。友人用に焼いたアップルパイを学校に持ち込んで、りるちゃんと天くんに振舞った。本当は、別のお友達にも差し入れたかったのだけど、時間が合わなかったので後でお家に届けるつもりだ。
それから、日課のように灰慈くんとの出来事を話すと、りるちゃんはアップルパイを口に含んだまま、喋りにくそうに告げた。
「超燃費悪いっしょ。特定の燃料じゃないと動かねーじゃん」
黙っていないのは天くんだ。
「ああ、確かに悪いわ」
二人が謎に結託するので「悪口が聞こえた」とジト目を送ると、「聞かせてたの」と、りるちゃんはすぐに罪を認めた。



