メルティ・エモーション



灰慈くんからは仕事の合間だろう、変なスタンプが届いた。

《お腹空いた》と嘘を送ると《ごめんさっき食べた》と、チョコレートの屑の写真が届いた。傍らに眼鏡もある。灰慈くんの眼鏡姿を妄想すると元気になった。わたしの元気チャージのために、眼鏡の灰慈くんが見たいです。

《今日、ちょっとだけ時間ありますか。通話したいです》

けれど、やっぱり声が聞きたい。声を聞けば会いたくなる、会えば離れがたくなる、離れると恋しくて声が聞きたくなる、恋という永久機関の出来上がりで、この無限ループも、受け止めてくれる人がいてこそ完成される。

《仕事終わったら電話するよ》

灰慈くんが甘えさせてくれるから、我慢もご褒美みたいに思えた。



「ごめん、遅くなった。拗ねてる?」

約束が届けられたのは、夕食が終わり、皿洗いを手伝っている最中だった。灰慈くん、今日はすこし、残業だったみたい。

「拗ねてないよ。お皿洗ってた。今日はビーフシチュー作ったんだ」

「最近、寒い日あるもんな」

「うん。今度灰慈くんにも作るね。もちろん、人参抜きで!」

決意表明をすると、電話の向こうで灰慈くんは楽しそうな笑い声とともに「楽しみ」と、期待をプレゼントしてくれた。