教科書を取り替えると急いでUターン。次の授業の先生は着席に厳しくないけれど、遅れてきた生徒を狙い撃ちする傾向がある。
急いでいると、先程の踊り場にまだ青葉くんがいた。疑問が落っこちるわたしに合わせるように、青葉くんは走り出した。
「ほら、いそげ」
「青葉くん、先に行って先生引き止めてくれない?」
「やだね」
二人で笑いながら走った。結局、二人して的になる運命だったけれど、やっぱり、青葉くんは優しい人だと思えた。
誰を選ぶのか。
その選択肢はわたしに存在しない。灰慈くんは間違っていないと思うし、青葉くんの言葉も無闇矢鱈に否定も出来ない。
だけど間違いなく青葉くんの言葉が小骨になって、喉の内側に引っかかって、ふとした時に思い出していた。
「(これって、おかしい、のかな……)」
恋心の矢印は毎日まっすぐ伸びている。ぐんぐん伸びるって話題のまつげ美容液もこの伸びにはビックリすると思うし、それを疑問に思ったことなどない。
モヤモヤとしたものは上手に消化出来なくて。灰慈くんとのトークルームに“かまって”アピールつよめのスタンプを送信してしまう。



