メルティ・エモーション

頑張ることは誰だって出来る。だけど、続けることって難しい。認めてくれる人がいることが、力になるんだって灰慈くんから教わっている。



‪◝✩



「うわ、教科書間違えちゃった」

移動教室の途中、最悪に気づく。途中で気づいたから良しとする。授業の直前であれば致命的だった。

「先行ってるよ」

りるちゃんが振り向きざまに告げるので「うん!」と頷いて別れた。慌てて階段をかけおりると、踊り場で青葉くんと天くん、それからわたしをいや〜な目で見つめる流くんと遭遇した。

すれ違いざま「忘れ物?」と青葉くんに声を掛けられるので「間違えちゃった」と応えれば、青葉くんへの返事を何故か天くんが「どんくさ」と低い声で嘲笑うから、わたしの反撃スイッチが入る。

「なによ……っあれ、」

振り向いたその瞬間ぐらりと身体が傾き、足から浮遊感が生まれた。

──あ、落っこちる。

何故か予想できる未来図は最早諦めの境地にちかい。