パパを見送ると、灰慈くんが高い位置からわたしを見下ろした。
わたしも背が伸びたのに、灰慈くんだって背がぐーんと伸びてしまったから、まだまだ全然追い越せないの。
いつ追い越せるかなあ……?と、考えていれば『ん、』と、その手を差し出されるので『ん!』と、当然のように手を乗せた。
まるでお手をするわたしを見て、灰慈くんはゆるく微笑んだ。
『あー……違う。アイスのつもりだったんだけど』
『あ!そっか!』
灰慈くんが求めているのはわたしではなく、アイスだったらしい。
恥ずかしくなって頬を染めていると、灰慈くんは突然、わたしを抱き抱えた。
『……っ、わわっ、』
浮遊感に驚いて、灰慈くんの身体に手を回してしがみつく。パパとはちがう、甘くて良い香りにドキドキと胸が高鳴るのを感じた。
『一石二鳥』
王子さまは、わたしもご所望してくれた。



