不思議に思ってリビングの扉を開けると、玄関先で仁王立ちするパパの背中が見えた。
『あんなの社交辞令だから、本気にしてんじゃねーよ』
『せんせー、無視すると倍にして返すじゃん』
『それ学校内の話だからな?本気で家に来るやついるかよ』
『ここにいた』
『休日も担任の雑用を忘れない雪平くんえらいですね〜!内申点いれようね〜!ってなる教師どこにいるよ』
『ここにいた』
『ちげえよ!!』
パパと話しているのは、なんと、灰慈くんだ。
『!はいじくん!』
灰慈くんはわたしと目が合うと、ひらひらっと手を翳した。
『こんにちは、ふみ』
高校生の灰慈くんは、相変わらず天使な見た目なのに、真っ黒なパーカーがとっても良く似合っている。わたしも黒いパーカーが欲しいなあって、欲が出る。
しかも、灰慈くんの担任の先生をパパがしているから二人はとても仲が良いらしい。
『灰慈くん、今日はどうしたの?』
『うん。週末久遠寺先生怒らせちゃったから、お詫びの品』
どうぞ、と言われて紙袋を受け取る。中身はひんやりとしていた。
『お詫びの品じゃなくて賄賂って言うんよ』
『先生、ヒョウ柄似合いますね』
『賄賂の次は褒めるのか』
うんざりするパパの隣で、わたしは飛び跳ねた。



