◝✩
「今日のふみ、良いにおいする」
今朝もまた、いつものように幸せを堪能する朝。さらにいえば今日、朝のニュース番組にておとめ座が1位だった。おかげで最強の朝なのだ。
しかし残念ながら座席が埋まっていたので、わたしが座り、灰慈くんはわたしの前に立っている。こういう時、灰慈くんは絶対にわたしを立たせてくれない。子供は早く座れって言う。ここで反応すると正真正銘子供になるので、わたしは大人しく譲られるの。
王子さまは今日も王子さまである。
わたしの趣味も、興味も灰慈くんだ。しかし、灰慈くんの興味はわたしの香りであって、わたしじゃない。
「こないだ灰慈くんが買ってくれたハンドクリームだよ」
「ああ、あれか」
「ほら、いい匂い!」
「子ども」
「子どもじゃないもん」
子供のわたしはハンドクリームをチューブからほんの少し出して、ビジネスバッグを持つ灰慈くんの手にも付けてやった。灰慈くんは表情を崩すことなく、ちょこんと乗せられたクリームさえも無視だ。なので、お姉さんになったわたしが灰慈くんの骨ばったその手の甲にクリームを塗り広げた。
「これでいつも灰慈くんが好きなチョコミントの香り〜」
満面の笑みで見上げると灰慈くんはふ、と嘲笑う。
「今日のふみ、良いにおいする」
今朝もまた、いつものように幸せを堪能する朝。さらにいえば今日、朝のニュース番組にておとめ座が1位だった。おかげで最強の朝なのだ。
しかし残念ながら座席が埋まっていたので、わたしが座り、灰慈くんはわたしの前に立っている。こういう時、灰慈くんは絶対にわたしを立たせてくれない。子供は早く座れって言う。ここで反応すると正真正銘子供になるので、わたしは大人しく譲られるの。
王子さまは今日も王子さまである。
わたしの趣味も、興味も灰慈くんだ。しかし、灰慈くんの興味はわたしの香りであって、わたしじゃない。
「こないだ灰慈くんが買ってくれたハンドクリームだよ」
「ああ、あれか」
「ほら、いい匂い!」
「子ども」
「子どもじゃないもん」
子供のわたしはハンドクリームをチューブからほんの少し出して、ビジネスバッグを持つ灰慈くんの手にも付けてやった。灰慈くんは表情を崩すことなく、ちょこんと乗せられたクリームさえも無視だ。なので、お姉さんになったわたしが灰慈くんの骨ばったその手の甲にクリームを塗り広げた。
「これでいつも灰慈くんが好きなチョコミントの香り〜」
満面の笑みで見上げると灰慈くんはふ、と嘲笑う。



