「あ゙ー……もー……」
大きなため息を腹の底から吐き出し起き上がると、クローゼットを開けた。
会議が入っているので運悪くスーツの日だった。
一番手前に掛けられたシャツを羽織り、ボタンを急いで留め、スラックスのベルトを通す。悠長にネクタイなんかしている暇は無いし、ジャケットは腕にかけ、昨日のうちに用意していたビジネスバッグを持ち慌てて家を出る。
朝の青さに染まる閑静な住宅街。アスファルトを革靴で蹴り、バス停へ急ぐ。
歩道橋の向こう側、両の眼は制服姿の女の子を見つける。
バス停に居る大人や、大学生、別の制服を着た女子生徒もスマホを見ているっていうのに、お行事良く前で手を組み、キョロキョロと辺りを見渡している華奢な女の子。
見慣れなかった制服はたった1ヶ月で着こなしているし、カフェオレ色のセミロングは、半分でくるんとお団子で纏められている。ふみだ。
弾んだ息を整えて、なんともない振りをして。
「おはよう、ふみ」
背中に声をかけると、ふみは毎回僅かに肩を揺らし、驚いたのちにとろけるような笑顔を浮かべる。
「おはよう灰慈くん。今日はちょっと遅かったのね?」
「そうかな。俺的にはいつも通りでしたよ」
「ふうん。いつも通り、ぐうぜん会えて良かった。あ、そうだ!ね、見て?今日のまつげ、すっごい上向いてると思わない?」
やめなさい、と、柄にもなく咎めたくなる。
朝から眩しい笑顔も、上目遣いで覗き込んでくる仕草も、キミの可愛さがバレてしまうでしょう。
そんな理不尽な言い訳を飲み込んで、平然を装う。
大きなため息を腹の底から吐き出し起き上がると、クローゼットを開けた。
会議が入っているので運悪くスーツの日だった。
一番手前に掛けられたシャツを羽織り、ボタンを急いで留め、スラックスのベルトを通す。悠長にネクタイなんかしている暇は無いし、ジャケットは腕にかけ、昨日のうちに用意していたビジネスバッグを持ち慌てて家を出る。
朝の青さに染まる閑静な住宅街。アスファルトを革靴で蹴り、バス停へ急ぐ。
歩道橋の向こう側、両の眼は制服姿の女の子を見つける。
バス停に居る大人や、大学生、別の制服を着た女子生徒もスマホを見ているっていうのに、お行事良く前で手を組み、キョロキョロと辺りを見渡している華奢な女の子。
見慣れなかった制服はたった1ヶ月で着こなしているし、カフェオレ色のセミロングは、半分でくるんとお団子で纏められている。ふみだ。
弾んだ息を整えて、なんともない振りをして。
「おはよう、ふみ」
背中に声をかけると、ふみは毎回僅かに肩を揺らし、驚いたのちにとろけるような笑顔を浮かべる。
「おはよう灰慈くん。今日はちょっと遅かったのね?」
「そうかな。俺的にはいつも通りでしたよ」
「ふうん。いつも通り、ぐうぜん会えて良かった。あ、そうだ!ね、見て?今日のまつげ、すっごい上向いてると思わない?」
やめなさい、と、柄にもなく咎めたくなる。
朝から眩しい笑顔も、上目遣いで覗き込んでくる仕草も、キミの可愛さがバレてしまうでしょう。
そんな理不尽な言い訳を飲み込んで、平然を装う。



