大人な灰慈くんの目は、女子高生のわたしとは違って運命の値段が見えるらしい。なんて観察眼だ。
「灰慈くんはどうして、安い運命だって思ったの?」
その真意を問いたくて、バスの中でも話を続けた。
「ふみ、昨日の通話で俺にバスの時間まで言ってたの忘れたの?全くの偶然なら運命かもしれないけれど、ふみの情報は既に共有されてたってわけ」
あ、そうだった。緊張してバスに乗るの間違えそうだからって、バス乗り場から時間、今日の時間割まで話した。ついでに、お昼ご飯は灰慈くんが教えてくれたオムハヤシを学食で……出来れば友人と食べるって言ったんだ。
ということは。
「……灰慈くんが、時間、合わせてくれたの?」
「まさか。たまたまでしょうよ」
「そっか。たまたま、なんだ」
偶然かもしれないけれど、もしかすると合わせてくれたのかもしれない。安い運命でも、バーゲンセールだとしても、目に見えないところで結ぼうとしてくれる、意地悪な灰慈くんが明日もきっと好きだ。



