いっそのこと攫ってしまいたかった。
行動は簡単だけど、責任が伴うものだ。
彼女の父親に了承を得るべきだと常にうっすら感じてはいたものの、なかなか行動に移す機会がなかった。そんな俺に雷が落ちた。
電話に別の男が出たのだ。
通話できないほど喉が潰れているのか、それにしても俺を頼らないふみにも、自分にも苛立った。
どうしたって俺は、彼女が大事な時にそばにいてやれない方が多い。
のど飴やふみが好きな飲み物、アイスを差し入れをすればふみはすぐに教えた。
ふみが自分の内側に疑問や不安、些細なモヤモヤを残さず打ち明けるのは、俺の賜物だと思う。ふみが押しつぶされそうな時吐き出せるよう時間をかけたのだから。
理由を知った。原因が俺の過去であるならば、近い未来、その不安を取り除けるように行動すべきだ。
「久遠寺先生」
というわけで、久遠寺先生の帰宅を待ってみる。



