そうだといいな、と毎回ふんわりと思っていた不確定なそれらが、もしかすると、本当だったのかもしれない。
「ふみ」
漠然とした幸福を感じていると、優しい声がとどく。
「今日学祭に来たのは、ふみの夢を叶えるためにと、もうひとつ」
……もうひとつ……?
なんとなくだけど、灰慈くんが大事な話をしようとしているってことはわかる。わたしは灰慈くんの幼なじみを17年しているのだ。
灰慈くんの膝からおりて、敷いてくれたブレザーの上に座った。すると灰慈くんは一段下の踊り場に降り、わたしの手を取ると跪いた。
琥珀色の瞳が、射抜くようにわたしを見つめる。
「これからの話をしよう」
「……うん」
これからの話。わたしと灰慈くんの話。それはきっと自分本位じゃない。
けれどどんなことを言われるのかまったく想像もつかない。どきどきと早鐘を鳴らす鼓動を落ち着かせていると、その薄い唇がしずかに動いた。
「俺は、ふみが大学生になったら一緒に住みたいと思ってる」
「……一緒に?」
「一緒に」
繋がれた手に力が込められた。



