「ごめんね、俺は高校のころ、ふみのことをそんなふうに思ったことがなかった」
灰慈くんの声が申し訳なさそうに揺れた。けれど、そんなふうに思わないでほしい。
「良いんだよ。小学生を恋愛対象にしてくださいっていうのは、さすがにわたしでも言えない」
「そのうち、同い年とかに心変わりするんだと思ってた。たまにしか会わない年上より、毎日会う同じ学校のやつのこと、さらっと好きになるんだろうなって」
たぶん、灰慈くんが言うように、わたしが簡単に心変わりするような人間だったら、灰慈くんも楽だったんだろうな。
「ふふ、残念でしたー」
けれど、わたしの恋心はそんなにやわじゃないのだ。
それから、灰慈くんの価値観は、毎日会うか会わないか、らしい。
だったら、わたしたちの毎日に違和感がある。
「……だから毎日会ってくれるの?」
まさかね。偶然だよね?
「分かっても口に出すもんじゃないよ」
灰慈くんは否定しない。



