メルティ・エモーション



灰慈くんの好きなところを探すのは簡単だ。嫌いなところはないし、むしろ嫌いになることの方が難しいとさえ思う。

それはきっと、わたしが灰慈くんに夢中って理由以外に原因はあって、灰慈くん自身の努力もあるんだと思う。だからわたしは灰慈くんのことがずっとずっと大好きだ。わたしは雪平灰慈全肯定人間なので、そういうことにする。

「ふみのクラスのオブジェ、綺麗だったな」

「でしょう!あーあ、灰慈くんと二人で撮りたかったなあ」

「あとでもっかい戻る?」

「うん!」

そんな何気ない話をしながら、校内を回った。気まずそうだったのは最初だけで、しばらくすると灰慈くんは学校に馴染んでしまった。

在校時、お気に入りだった場所を教えてもらった。さぼる時に利用していた教室や、図書室で良く寝ていたという日当たりの良い席も、担任の先生も教えてくれた。

球技大会で女子の制服を着て応援したこと、学祭は謎解きゲームで、景品が灰慈くんとのデート券になったこと。一番仲が良かった男友達が一位になってくれたこと、初めて聞く話ばかり、懐かしむように教えてくれた。