「久遠寺先生、いくら灰慈クンがかっこいいからっていじめるの良くないですよ」
「そうですよ」
クラスメイトが味方してくれる。
「NO MORE雪平灰慈」
しかしパパは頑固だ。
「Need more雪平灰慈ですー!」
パパ似のわたしも頑固だ。
譲れない戦いを繰り広げているわたしとパパの間に、突然、青葉くんが割って入った。
「久遠寺センセ、3000円のスペシャルドリンクいかがですか?久遠寺のチェキ付きですよ」
「飲むよ!」
パパがわたしのチェキなんてもらって、何が嬉しいのだろうか。ていうか、余ったら持って帰るのになあ……?
パパの様子を眺めていると、青葉くんに、はやく行きなよ、のジェスチャーをされるので、灰慈くんとふたり、混沌とした空気の教室を抜け出すことに成功した。
学校に、灰慈くんがいる……!
それだけでもうゆめのようなのに。
テーマパークのように飾り付けられた廊下。見慣れた学校がおとぎ話の中に紛れたように色を変える。私服や、制服だけじゃない。多種多様の格好をした生徒たちに紛れて、灰慈くんと二人、秘密をつむぐように歩いた。



