フルーツ味に、ミルク味。種類豊富なのど飴に驚いていると、ママが教えてくれた。
「いま灰慈くんが来たんだよ。これ、ふみあげて、だって」
「(あ……)」
そっか、電話を取らなかったから風邪だと思われたんだ。袋に詰め込まれた灰慈くんの優しさにじんわりと胸があたたかくなって、目の奥がじんわりと熱を帯びる。
「ちがうのになあ」
震える声を吐き出したその時、涙がぽろっとこぼれた。
「仮病?」
「ううん、ちょっとだけ、勇気」
「そっか、がんばったね」
ママはよしよしと頭を撫でて、それからわたしの両手を包み込んでくれた。これは昔から勇気をくれるおまじないだ。
「間違ってたかもしれない。灰慈くんはなんにも悪いことしてないのに」
やっぱりわたしはどうしようもなく子どもで、灰慈くんはこんな時でも優しい。その優しさが情けない心に滲みて痛い。
「つよくなりたいなあ。そうなんだって、なんともないんだよって顔をして話せるまで、わたしはあとどれ位掛かるんだろ」
弱音を吐き出した。ママに言っても仕方ないのに、灰慈くんよりもずっと大人なママはくすくすと微笑んだ。
「灰慈くんは、ふみが弱いと怒っちゃうの?」
「え……わかんない」
「ね、多分怒らないよ。それよりどうする?弱いふみの方が好きって言われたら」
それはすっごく。
「こまるー……」と、観念して吐き出せば、ママは「そうだね、困るねえ」と、優しい声色で同調してくれた。



