「あはは、ごめんなさい。そうそう、青葉です。なんか通話したくないみたいです」
通話したくないのも、会いたくないのも認める。けれど、人伝で伝わるのはちがう気がする。
「あの、青葉くん」
手を伸ばす。けれど、その手はりるちゃんによって止められた。りるちゃんを見上げると、彼女は静かに顔を横に振った。
「青葉に任せよ。今は無理なんでしょ?むずかしい時は出来ないっていうのもひとつの勇気だし、そのくらいで灰慈くんはふみを嫌いにならないでしょ」
りるちゃんもまた、わたしの心を尊重してくれる。
「代わって?……えーっと」
青葉くんが困ったようにわたしに視線を寄越すので、一度りるちゃんを見遣る。りるちゃんは何度かうなずく。
むずかしい時は、できないって言うのもひとつの選択肢。それに、灰慈くんはわたしよりも大人だから、きっと分かってくれる。
ぎゅっと目を瞑り、何度か首を横に振った。青葉くんは指でOKサインを作る。
「嫌だって。どんまいでーす。あはは、じゃあまたね」
通話を終わらせた青葉くんは、「ごめんね、勝手に出ちゃった」と言いスマホを返してくれた。



