ああ、そうだ。わたしは翠織さんに既視感を覚えた。既視感というよりも、これは懐かしさ。だって、わたしはあの人を知っている。ハイプリの写真を見たから?ちがう。おそらく翠織さんはわたしよりも早く、わたしに気付いたはずだ。じゃなきゃ友人との会話をあんなふうに不自然に終わらせない。きっと、わたしのことも、わたしの好きな人のこともきづいたうえで、配慮してくれている。
『ふみちゃんって言うの?かわいいー!』
だって翠織さんは、いつかのひとりぼっちの帰り道、灰慈くんの隣を歩いていたあの人だ。
ずっと優しかった。わたしと目線をおなじにさせて話してくれた。わたしはどうだったかな。灰慈くんに隠れて、まともに話せなかったきがする。そんな時から、わたしと翠織さんには大きな差がある。
もしも今日のことを翠織さんが灰慈くんに話したら?
もしも灰慈くんが、翠織さんとよりを戻しちゃったら?
翠織さんのカフェラテをきっかけにつかったのはわたしだけど、翠織さんと灰慈くんのきっかけにわたしがなるのはやだ。
こんなことで落ち込んじゃダメ。だって、灰慈くんの元恋人はたくさんいるはずだし、これからの人生で、灰慈くんの元恋人に会う度にチクチク落ち込んでたらキリがない、のに。



