もしも灰慈くんが先生だったら、皆勤賞は当たり前。放課後までだらだらと残る可能性がある。
もしも灰慈くんがお医者さんなら苦手な注射も頑張れる。
暗い場所と狭い場所が苦手なわたしだけど、灰慈くんが一緒にいてくれると幸せ空間に変換されるのは決定している。これは、絶対。
今日の余韻を噛み締めながら、シートベルトを外し、膝に乗せていたスクバの持ち手を掴む。そして、どうやって灰慈くんを嫌なことから守れるだろうと小さな脳みそで考える。
「灰慈くん」
「ん?」
灰慈くんが振り向いたと同時に、両手で顔の輪郭を囲んで思いっきり寄り目をした。いつかりるちゃんたちの前で披露した全力変顔だ。
「……なにしてんの?」
灰慈くんはお情け程度に笑う。



