「いけるかなって思ったの」
本当は口実のために注文した。
「いけなかったか」
本当は灰慈くんが釣られてくれたので、大成功とも呼べるんです。
「うん。そもそもりんごあめとカフェラテはあまり合わないみたい」
真実は全て心のなかにしまって、りんごあめのせいにする。
「なんでりんごあめとカフェラテを一緒に販売しようと思ったんだろうね」
灰慈くんは私の話に合わせてくれた。助手席で一人喜ぶ。
「たぶん、灰慈くんとわたし用じゃない?」
「ポジティブだな」
「ものは考えようだよ。どうせなら、幸せな方に考えるべきだと思わない?」
「えらいえらい。ふみ、お返しは何がいい?」
そう言って灰慈くんはカフェラテをゆるりと振った。
「この助手席に住民票を移したいです」
「そっか。なら住民税とるけどいい?」
鮮やかに話を返され、けらけらと笑う。笑いながら、学校での一幕を思い出す。
「灰慈くん、住民税はいつでも払うけど、わたしに壺を売るならわたしが社会人になってからにしてね。頑張ってお金貯めるから」
「なんで壺?」
突然代わった話題に、灰慈くんは当たり前に失笑する。



