わたしの宝物と呼べる灰慈くんとの関係をあけすけに言えるはずもなく「お姉さんこそ、沢山告白されましたよね」と、言いながらりんご飴を齧る。しゃくっと瑞々しいりんごと、甘くて歯触りのいい飴の感触がたのしい。
「私もそれほど」
お姉さんは謙遜する。
「絶対うそだー!」
しかし、わたしはだまされない。
お姉さんはくすくすと笑いながら、「実はね」と内緒話を教えてくれた。
「高校の時めちゃくちゃモテてる同級生の男子がいたんだ」
「わあ、かっこいい人だったんですね〜!」
「まあモテてたね〜。でも毎日のようにされる告白にすっごく消極的な同級生で。もちろん告白タイムなんて彼にとっては地獄みたいなもので。お互いの利益のためにその人と毎年、文化祭期間限定で付き合ってたの」
「そんなことしてたんですか!?」
「若いよねー、今考えたら申し訳ないことしちゃったな」
「そんなことないですよ。少なくとも、告白されて振られる人を傷つけないし、お姉さんとその人の心も守ったことになります」
「そうかな?ふみちゃんは優しいね」
「や、ぜんぜん……わたしもすごく自分勝手だから」
「そんなことないよー!ふふ、いいなあ、私ももう一度高校生に戻りたいなあ」
お姉さんは懐かしむように目を細めた。どうしてだろう、その横顔に、目が離せなかった。



