メルティ・エモーション



それから突然だけど、わたしたちのクラスは今、舜珱祭の準備でいそがしい。今年の舜珱祭は、学校全体がひとつのテーマパークをコンセプトにしている。わたしたちのクラスは前回出た通り、ビジュ担を前面に出すということで、フォトジェニックな喫茶店に決定した。 フォトスポットになる場所、というテーマだ。

教室を星を散りばめた空間にして、大きな三日月をモチーフにしたベンチを作り、それを目玉にしようと画策している。

いかにも学生らしい出し物をするのは決定したけれど、喫茶店である。みんなフォトスポットを作ることに躍起になっているが、実際のところ、肝心のなにを売るかが決まっていない。

「(何がいいかな〜……)」

学校帰り、てくてくと歩きながら、足はいつかのお店に到着した。売るものは決定せずとも、わたしが食べたいものは決まっている。

水色とチョコレート色を基調としたかわいいお店。

「こんにちは」

「いらっしゃいま……あ、こないだの可愛い子だ〜」

前回あめちんと見付けたりんご飴のお店だ。

「約束のりんご飴買いに来ました。覚えててくれたんですか?」

「うん。だって私、舜珱の卒業生だもん。制服見ちゃったら、自ずと覚えちゃうよね〜」

「そうなんですね!嬉しいです!」

ふとした時に制服が役に立ち、誇らしい気持ちになる。