灰慈くんは相変わらずわたしを喜ばせることが上手だし、おなじくらい困らせることが上手だってことを再確認した。
「ふみって灰慈くんから進められたら壺買いそうだよね」
その話を大好きなりるちゃんに話した。りるちゃんはおそらく、わたしが灰慈くんのことがとても好きだということを伝えたかったのだと思う。
「そうだなあ、じいじに、お小遣い前借りしちゃうかも」
「ほらね」
「灰慈くん手作りの壺とかなら嬉しいなあ」
「もはやふみの思考回路が心配だ……。薄々思ってたんだけど、灰慈くんってふみみたいなビニールハウス育ちの恋愛経験ゼロが挑むには壁が高すぎるんじゃない?」
「りるちゃん、わたしって実は、義務教育を灰慈くんで過ごしたんだよね」
「そうだよね、少女漫画読むより雪平灰慈摂取してた方が有意義だもんね」
「困ったことに、そうなんだよね」
「それで?どうしたんですか、ふみさん」
「灰慈くんのおかげで、少女漫画や映画とか、ときめきコンテンツから摂取するキュンをたくさんもらったんだ、しかも無料で。だから少しは還元する必要もあると思うんだよね」
謎に威張る。「やっぱり、思考回路がやばい」とりるちゃんは嘆いたけれど、これはわたしの譲れない誇りでもある。



