メルティ・エモーション



放課後、教室でストーリー用の動画を撮って、それから約束のキングバーガーでクラスメイトと喋っていたら、あっというまに17時を回った。灰慈くんセンサーが搭載されているわたしは、たとえ会話の途中だとしても、ぴこん!とセンサーが反応してしまった。


「あ、そろそろわたし、帰るね」

「はーい。デート?」


と。帰る予定だった足がぴたりと止まり、「えっ」とびっくりしてしまった。その反応があやしまれたのか「あ、デートだ」と、友達は見透かす。デートっと呼んでいいのかな。ただ、帰り道がおなじだから拾ってもらうだけで、灰慈くんの優しさをデートに置き換えるのは、厚かましい気がする。


だから「デートじゃ、ない!」と声を張った。本当のことなのに、ちょっとだけ悲しい。


「あの社会人のひと、彼氏になったんだ」

「きゃ〜、おめでとう〜!」

「彼氏じゃないよ!」

またまた、悲しい事実を大声でさけぶ。
いままで、こんな不毛なことがあっただろうか。

「あは、あやしい〜!」

「いいな、社会人彼氏。なんでも買ってもらえそう」

「ね、めっちゃ甘やかしてもらえそー」

「(そんなこと、ないけど……)」

でも、わたしがもし、灰慈くんとお付き合いしたら、そんなふうに思われちゃうのかな。
わたしが灰慈くんのこと手玉にとって、貢いでもらってるって?

本当は逆なのになあ。