「はーい」
ざわつくクラス内。挙手したその手の指先はネイルで彩られていた。天くんだ。
「ビジュ担って、たとえば?」
天くんはあたかも自分は外野の人間ですと言った口調でりるちゃんに訊ねると、教壇に立つ彼女は質問の主である天くんに向かって名探偵さながらビシッと人差し指を向けた。
「天鷹、もちろんキミだ」
「はあ?今自分でプリンセスって言ったろ。俺、男。プリンセスにはなれません〜」
「いえ、なれます。男子は女装で、女子はめっためたに可愛くしようね〜」
「はあ?男だけ女装すんのおかしいだろ。女子も男装で道連れだ、道連れ!」
「天鷹、私が男装してみ?そんじょそこらの男子よりイケ散らかすからね?可哀想だろ?ん?」
徐々にヒートアップする二人の熱は止められない。「いやそうはならんやろ」と、冷静な天くんに対して「りるの男装、見てみたい〜!」と、周りは乗り気である。もちろん、わたしも見てみたい。
「青葉も女装ね、相沢は……」
ふと、りるちゃんの指が机に突っ伏し、眠たげな流くんを指さす。流くんも見た目だけは良いので確かに需要はありそうだ。
「俺、学園祭の日ユースの試合だから無理」
「ええっ!?!?」
女子の悲鳴が響く。彼の脳内は甘いものとサッカーで占領されているので、学園祭は二の次らしい。



