アラームが鳴る。止めなくては、と本能的にそう思ったのは、アラームという存在がそうさせたのか、それともわたしが起こす使命を忘れていなかったからか、はたまた灰慈くんの睡眠の邪魔をするのは良くないと思ったのか。
音源であるスマホは枕元にて発見した。スマホに手を伸ばし、アラームを止めようとする。突然、灰慈くんの手が伸びて、わたしの身体はあっさりとベッドに引きずり込まれた。一瞬のことで、頭はパニック状態。なのに嗅覚は、灰慈くんの香りでいっぱいになるから幸福で満たされるのだ。
「おはよ」
掠れた声が鼓膜に触れる。
「おはよう」
言い返すだけで精一杯のわたしは、顔を見なくても真っ赤であることがわかる。
「何してたの」
溶けそうなくらいあまやかな声が頭上から落ちてくる。
「ごめんなさい、灰慈くんの寝顔が尊すぎて、見てました」
「みてただけ?」
「見ただけです」
「起こせよ」
「逆に遅刻しそうじゃん」と軽く笑いながら、灰慈くんはわたしの頬を軽く摘んだ。朝から、とてつもない量のときめきを供給されているようで、胸が苦しい。



