ちょっと早足で徒歩15分。たどり着いた灰慈くんのマンション。合鍵を使って何の問題なくマンションのエントランスへたどり着き、灰慈くんの部屋の前に到着する。深呼吸をして、合鍵を回す。
「おじゃましまあす。おはよう、灰慈くん」
しずかな声で、しずかな部屋に挨拶をプレゼントする。
灰慈くんからの返事は期待しない。
リビングに灰慈くんの姿はない。足音を立てず、くのいち気分で寝室へのパーテーションをスライドさせた。
「(灰慈くんだ……!)」
ベッドで眠る、いとしの王子さま。灰慈くんの部屋なので、灰慈くん以外が寝ていたら衝撃だ。
華奢な体躯。白に埋められた横顔。ふわりとしたやわらかな、淡い色の髪の毛が枕にひろがっている。まっしろで滑らかな肌。長いまつ毛、まぶたの上にお星さまがふたつ。
みなさん、わたしの王子さまは、寝顔もとてつもなくかっこいいし可愛いんですよ……!!
見蕩れてしまって、ぼーっと眺めること早五分。
起こす?無理です。起こすなんておそれ多いこと、出来るはずがない。



