誰かの弱点を見つけた時は探し物を発見できた時のように嬉しくなるものだ。とりわけ家族のそれは格好の餌食。おかげで娘の加虐心は簡単に煽られる。
「あ、ママの初恋がパパじゃないから拗ねてるのね?パパとママは高校から付き合ってるんだもんね」
ふふんと喉を鳴らせば、パパの目はいっとう柔らかな形を作った。不意に逸れて遠くを見つめるその横顔は、何かを愛おしむように優しいそれだった。
「そうだよ。ママはあの頃からめっちゃ可愛くて、パパは毎日ママに好きでいて欲しくて、頑張ってたんだよ」
「そうかな。ママのことだから、パパが頑張らなくても好きでいてくれたと思うな」
「なんで?」
「だって、パパはママのこと大事にしてるでしょ?」
「当たり前だろ」
パパは即答した。揺るぎようのない自信が現れているように感じられたし、パパの言葉は娘のわたしだからこそ、嘘じゃないと確信を持てる。
「だからふみも、ふみのことを大事にしてくれる人じゃないとパパは認めねえよ」
パパはわたしの鼻をきゅっと摘んで、それから髪の毛をくしゃっと撫でた。大きな手だ。
灰慈くんは大事にしてくれないかな?子ども扱いされてる感じしかしないんだよなあ。
でも、子どもって大事にすべき存在だから、やっぱり、大事にされてるってことかな?



