その後、無事に灰慈くんと待ち合わせの時間になった。
《一人?》とメッセージを受信したので《一人だよ》と即座に言うと《本屋か、女の子が多い場所にいなよ》と言われた。何だか、灰慈くんが突然パパになったみたいだ。
《どうしたの、とつぜん》
思わず尋ねると、しばらく時間を置いて、灰慈くんから返事が届いた。
《心配なんだよ》
心配?どうして急に?
灰慈くんの心の内を知る術はない。けれど、知ろうとする努力を日々心がけている。とは言え、久遠寺ふみの最優先事項は、大好きな灰慈くんの心配をひとつでも除去することで、わたしの行動ひとつでそれがクリア出来るのならばよろこんでいたします。
女の子が多い場所ですぐに思い浮かべるのはさっきのりんご飴屋だ。けれど、さっき行ったばかりなので少々きまずい。ということで本屋で灰慈くんを待つことにした。本屋に併設された化粧品売り場や雑貨コーナーには女子校生がいたので、これなら一安心だ。
「ごめん、お待たせ」
しばらくして灰慈くん(という名前の王子さま)がやって来た。幸せだ。
たった八時間前、確かに会ったはずなのに、近ごろのわたしは灰慈くん不足に陥るのがとても早いのでたいへん困る。



