メルティ・エモーション


ママにお土産として買おうと思ったけれど、なんとこのりんご飴、賞味期限が30分らしい。無理だ。

「りんごスムージーと、カフェラテをお願いします」

ぐっと堪えて注文をおねがいした。

「注文したカフェラテ、灰慈くんにあげるの?」

「うん。お土産。灰慈くんに元気チャージしてもらうから、お礼に」

へへっと頬にしあわせを閉じ込めて微笑む。カウンターの奥で「高校生、可愛いなあ」と、店員さんが褒めてくれたので、ちょっと嬉しくなる。あめちんのおかげだ。

「優しいふみに、一切れあげるよ」

なんと、優しいあめちんが、なんとりんご飴の一切れくれたのだ。

「いいの!?」

「うん。ふみと話してると、こっちまで幸せのおすそ分けもらってるみたいだもん。いつもありがとう」

「えっと、どういたしまして。あめちんに、よろこんでもらえて嬉しいよ」

「ふふ。ふみが甘やかされる理由がわかるなあ」

あめちんはそう言って「写真、撮ろう」と、スマホを翳した。写真を撮り終えると、賞味期限30分以内だからと結局二人で半分こして食べた。想像していたより軽い音。歯に当たる飴は薄くて、すぐにりんごの果汁がはじける。ホワイトチョコの甘さが遅れて溶けて、最後にほんのりとシナモンが残った。

「!美味しいね!?」

「ね、美味しいね。可愛いし、美味しいって、鬼に金棒だね」

「今度はりんご飴を買いに来ます!」

絶対に絶対に、と約束を強くさせると、「待ってるねー!」と、フレンドリーな店員さんはそんな言葉をくれた。