メルティ・エモーション



──あれ、待って?

そもそも“恋愛対象”と言われただけじゃない?

それらしい言葉をもらって舞い上がっていたけれど、好きも大好きも愛の歌を歌ってくれた訳でも、付き合ってと言われていなければ、ましてや、星の数ほどいる灰慈くんの恋人候補の一人、という当たり前のことを言われただけでは?


「……りるちゃん」

「ん?なになに、どうした」

「わたし、頑張る!灰慈くんに、好きって言って貰えるように!」

「おー、やっといつものふみだ」

灰慈くんと恋人になれるまでは、油断大敵である。


《これ、好きだったよね》

ふいに、メッセージを好きな人からの受信した昼下がり。わたしが好きなチョコレートだ。

《好き!》

好きな人が自分が好きなものを覚えてくれている、その幸せを噛み締めながらたった二文字を送信した。

《仕事終わったら渡す》

17時くらいになると思う、と、付け足された文字。幸せが更新されたので、今日のわたしは最強だ。