灰慈くんとのことを唯一打ち明けたのは、青葉くんだ。
青葉くんの言葉が灰慈くんへの力になった。だから、何も言わないのは失礼だと思った。
" はぐらかさないでくれたよ "と" 向き合ってくれるみたいです "このふたつを。
"そっか、よかった"と、青葉くんはしばらくなやんだのち、そう言ってくれた。けれど、さっきの言葉でより複雑になってしまった。
「(青葉くんは、ともだち……)」
そして、その関係は平行線のまま変わらない。これはわたしの一方的な願望。おこがましくて、浅はかなもの。
未だ、犯人を見付けた刑事がごとく目付きでわたしを見つめるりるちゃんに気付く。
「なんでもないの」と言えば「あやしい〜!」と攻めるりるちゃんに「あやしくないもん」と、張り合う。
「灰慈くんと進展した?」
質問を変えたりるちゃんは、ふわり、優しい笑顔を浮かべると前を向いた。わたしの表情は、灰慈くん、というワードを聞くだけで、やさしいかたちを作る。そういう仕組みになっている。
「うん、ちょっとだけ」
「付き合えたんだ?」
「ううん、ちがうよ」
「じゃあ、告白して貰えた?」
「ちが……」
瞬間、ゆるみきった思考回路が、ぴたりと止まる。



