「青葉くんは、芸人よりもアイドルの方が似合いそうだなあ」
靴を履き替えながら、何気なく会話に加わった。すると二人は会話をやめて難しい顔をするからちょっとだけ反応に困る。
「それをいうなら、青葉はアイドルよりも俳優の方が似合うよ」
りるちゃんの解答に、私は、はいそうですと頷けなかった。
「え、なんで?」
首を傾げると、りるちゃんは呆れ顔をした。青葉くんは笑いを噛み殺したような、複雑そうな顔をして、それから視線をわたしから逸らした。
「とにかく、芸人になるなら生まれ変わるしかないってことで、勘弁して」
りるちゃんは残念そうに「まじかー」と、落胆する。今世では芸人・青葉くんは見られないかもしれない。でも、来世は期待大だ。
「じゃあ生まれ変わってもすぐ青葉くんのことを探したいから、絶対テレビに出てよ〜?」
何気ない一言だった。頭に過ぎったことをそのまま伝えると、わたしと視線を合わせたはずの青葉くんは何も言わず、ふら〜っと視線を逸らした。
「ふみ、そういうところよね」
りるちゃんはやっぱり、呆れ顔である。
「どうでもいいけど眠」
青葉くんは眠そうに欠伸を噛んだ。欠伸の顔も全然崩れなくて、ちょっとずるいなって思う。
「眠そうだけど毎回遅刻しないの偉いよね」
「この時間に来ればちょうど久遠寺と会えるからねー」
うん。……うん?



