メルティ・エモーション


やがてバスはわたしを高校の最寄りに送り届けた。その間、ずっと手は繋がれたままだった。こんなことが未だかつてあっただろうか。なんかもう、いつも以上にいい匂いがして困った。非常に困った。同じ距離なのに時間が長い気がしたし、いつもは気にならない周りの目がなんとなく気になって、ずっと俯いてた。

バスに向かってバイバイをした。灰慈くんの残り香がまだ漂っている気がして、また心臓がやられた。

「ふみ、顔赤くない?」

わたしを呼ぶ声が聞こえた。振り向くとりるちゃんがいた。

「……!そうかな」

顔に手を当てても赤らんでいるかなんて分からない。当てた手もあたたかく、そういえばさっきまで灰慈くんと手を繋いでいたんだって、その事実を思い出すと、また熱が上がったように感じられた。

「は〜ん。なるほど、今日は久しぶりに灰慈くんと会える日、だったっけ」

「うん」

「それにしては大人しいな?ふみのことだから、”素敵ー!かっこよすぎて死んじゃうー!大好きー!“ってなるでしょ」

さすがりるちゃん、わたしのことをよくお分かりである。ただ、両手でグーを作って、きゃっきゃと喜ぶその様子はまさかわたしの真似なの?