楽しみにしていた花火大会。行けなくなったと聞いたのは三日前だった。りるちゃんや球技大会で一緒だったクラスメイトたちと、会場で会おうね!と約束した。そんな他愛のない会話の中で、少し気まずそうに「花火大会だけど」と呟かれたその時、わたしは心のどこかで、そうなるんじゃないかって曖昧な確信を持っていたのだと思う。
「一緒には行けなくなった。外注先にトラブルがあって」
外注先、トラブル、そう説明されても、社会人でもなければ仕事をしたことがないわたしは想像力が著しく欠如しているから、「そっか」と、頷くしか出来なかった。
「じゃあ、りるちゃんたちと一緒に行こうかな。実は、誘われてたんだよね」
「ふみが撮った写真送って」
「うん。そうする」
大丈夫だもん。わたしは" 理解できる "から。けど、本当は一緒に行きたかった。服を選ぶ時、コスメを選ぶ時、美容室へ行く時、灰慈くんに可愛いって言ってもらうことを目的に選んでいる。浴衣だってそうだ。みんなから"絶対似合う"とお墨付きをもらったから、灰慈くんに見せたかった。
写真撮ればいっか。
実物よりも可愛く撮れるし、そっちが良いかもしれない。
「……ごめんな」
なんとか平常心を保持するわたしの頭を灰慈くんは撫でてくれた。返事をしようとして、喉の奥で言葉がほどけた。
「大丈夫だよ。お仕事頑張ってね」
わたしに出来ることは、笑って、送り出すことだけだ。



