「ふみ、昨日のこと覚えてる?」
「昨日?わたし、なにかした?」
「……俺が覚えてるから、もういい」
灰慈くんは笑いながらもわたしを抱く腰の拘束を強くした。
「ふみ、男の家で無防備に寝るのは駄目」
重くないのかな、と不安なわたしの耳に届いた灰慈くんの声は低くなったように感じた。
「……でも、灰慈くんの家なら」
「灰慈くんの家でも、彼氏じゃないだろ」
灰慈くんが紡いだ“彼氏じゃない”という言葉が胸に刺さって、わたしは小さく頷いた。
沈黙のあいだ、灰慈くんの指がわたしの髪を撫でる。その手はいつも優しいのに、どこか遠く感じるのは何故だろう。
言いたいことを飲み込んで、真上にある灰慈くんを見上げた。
「……ねえ灰慈くん。灰慈くんがいいよって言ったら、わたしには彼氏ができると思うんだ」
「それもそうだな」
言葉が途切れたと同時に、灰慈くんがわたしを見た。
「でも、俺が言わないのは、ふみが“付き合って”って言わないからじゃね」
どくん、と心臓が跳ねる。
「それもそっか」
灰慈くんと同じ返事になってしまう。
わたしの髪に触れていたその手が止まると滑るように頬を撫でた。
「……ふみは、俺の彼女になりたい?」
「昨日?わたし、なにかした?」
「……俺が覚えてるから、もういい」
灰慈くんは笑いながらもわたしを抱く腰の拘束を強くした。
「ふみ、男の家で無防備に寝るのは駄目」
重くないのかな、と不安なわたしの耳に届いた灰慈くんの声は低くなったように感じた。
「……でも、灰慈くんの家なら」
「灰慈くんの家でも、彼氏じゃないだろ」
灰慈くんが紡いだ“彼氏じゃない”という言葉が胸に刺さって、わたしは小さく頷いた。
沈黙のあいだ、灰慈くんの指がわたしの髪を撫でる。その手はいつも優しいのに、どこか遠く感じるのは何故だろう。
言いたいことを飲み込んで、真上にある灰慈くんを見上げた。
「……ねえ灰慈くん。灰慈くんがいいよって言ったら、わたしには彼氏ができると思うんだ」
「それもそうだな」
言葉が途切れたと同時に、灰慈くんがわたしを見た。
「でも、俺が言わないのは、ふみが“付き合って”って言わないからじゃね」
どくん、と心臓が跳ねる。
「それもそっか」
灰慈くんと同じ返事になってしまう。
わたしの髪に触れていたその手が止まると滑るように頬を撫でた。
「……ふみは、俺の彼女になりたい?」



