あの日からわたしの宝物に追加された月と花のヘアピン。前回も前々回もお洋服を選ぶことに時間をかけたけれど、今回はヘアアレンジまで悩ましくて、眠るのが遅くなってしまった。
今日のコーデは大人っぽく完成させた。くすんだピンク色のブラウスは全体的にフリルで甘やかだけど肩出しがちょっとセクシーで、下品にならないように膝丈のスカートと合わせてみた。髪の毛はゆるく捻ったハーフアップでまとめて、その結び目をヘアピンで飾った。今日のわたしはきっと最強に可愛い。
灰慈くんの家を見上げる西陽が眩しい午後四時半。合鍵を取り出し、ごくりと喉を鳴らした。
「おじゃましまー……す」
おそるおそる部屋に入る。むわりとした熱気が籠る部屋の中。この鬱陶しさで灰慈くんの帰宅が遅くなって、外食先で逆ナンされちゃって朝帰り、なんてことは絶対に絶対にNGだ。
靴を揃えて部屋に入る。玄関で待っていたのはあの日だけ。灰慈くんは部屋の中で待たないと合鍵を没収すると言ったので、わたしはしっかりと部屋の中で待機している。
部屋の換気を終わらせて、それからエアコンを入れた。任務完了、灰慈くんの朝帰りも阻止成功だ。
待って、任務完了……??
ということは、わたしもお役御免??



