メルティ・エモーション


みなさん、夏です。夏といえば、夏休みです。

わたしの大嫌いな40日間の始まりです。

「うー……灰慈くん不足だあ……」

毎日補給していた朝の灰慈くんタイムが無くなり、久遠寺ふみは深刻な雪平灰慈不足に陥っている。
ちなみに去年もこの状況は経験した。その前は中学生だったので、会わないことが当たり前だった。わたしの身体はいつから灰慈くんに対して、欲張りになったのだろう。

とはいえ、毎日会えないわけではない。夜の公園でアイス休憩に誘われたり、眠れない時は通話を増やして貰ったり、灰慈くんはわたしの不足分をほとんど毎日補ってくれる。しかし、わがままなわたしの恋心は減っていく方が早いからとても困るものだ。

課題も夏休み前半で終わった。いまの楽しみは花火大会で、つまるところ、花火大会のために生きていると言っても過言では無い。

暇な時は大体りるちゃんと会っていて、りるちゃんはそんなわたしを見て「会いたい時に会えない高嶺の花よりも、会いたい時に会える道端の花でしょ〜」と言うけれど「会いたいっていえば会ってくれるよ?」と反論すれば、「そうだった……手強い男だ、雪平灰慈」と灰慈くんを認めてくれた。誇らしい気持ちだ。