メルティ・エモーション



それからしばらくしてチームでの練習の日になった。

パスはあまり遠くまで飛ばないけれど、ドリブルは躓かずに出来るようになったので、青葉くんに披露してみた。

「どうかな!」

ぜえぜえと息を切らしながら張り切ると、青葉くんは軽く手を叩いた。

「初心者にしては上手だね。筋があるよ」

「パパに教わったんだ」

「娘の特権ってやつ?」

「うん。教え方上手なんだよ」

「うわー……あの先生、あほでも分かりやすく教えてくれるから、めっちゃ想像つく」

青葉くんは褒める才能があるらしい。嬉しい。わたしは単純なので、大好きなパパのことを褒められると、誇らしいと同時に自分まで褒められている心地がする。

「青葉、参加しないのー!」

ふと、青葉くんを呼ぶ声が遠くで聞こえた。何度も言うけれど、今、みんなはチーム練習をしているのだ。二年生のバスケチームを誘って、練習試合の形式を取っている。チームの主軸になるであろう、青葉くんを独占するのはさすがに心苦しい。

「あ、わたしは勝手にこの辺でドリブルの練習してるから、青葉くんはチームの練習に参加してください」

「久遠寺もチームの1人でしょ」

青葉くんは褒める才能もあれば、心だって広い。