「チハにい、暇でしょ!バスケ教えて!?」
それからやる気に満ち満ちたわたしは、経験者であるお兄ちゃんたちにバスケを教えて貰うことにした。千暖お兄ちゃん……チハにいはベッドに寝転んで雑誌を読んでいて、わたしを見てはうんざりとしたため息を吐き「やだね」と言った。
けれども、やる気が満タンのわたしはすぐには引き下がらないのだ。
「雨芽《あめ》ちんの可愛い写真いっぱい撮るから」
「……あいつ何に出るの」
「ドッジ」
「雨芽にボール当てた男教えて」
当たる前提なのね、はこの際置いといて、「教えるから、チハにいはバスケ教えてくれるのね?」と聞けば「暇で暇で仕方ない時ならいいよ」と頷いてくれた。買収成功である。
「は?灰慈に仕込まれるより先にパパが教えてあげるから灰慈なんて必要ないね。今すぐ断れ」
パパはしごとで疲れているだろうからこの件はノータッチで行こうと思っていたのに、対抗心をメラメラと燃やすから意味がなかった。
「やだ、断んない!灰慈くんとデートする!」
「あいつは元野球部、パパは現役でコーチ。はいパパの勝ち」
一度火がついたパパも、すぐには引き下がらない。仕方ない。親子だから。
「ふみ、パパとママは週末デートするから、ふみは灰慈くんとデートに行っておいで」
「俺達もラウワン行く?」
「わあ、高校生と一緒に動ける自信が無いなあ!日帰り温泉にしよう」
こういう時、パパの取り扱いにおいてママの右に出る者はいない。



