「バスケ?」
「うん。色々あって、球技大会でバスケに出ることになったの」
友達とのいざこざは〝いろいろ〟という万能なオブラートに包んで隠した。
「だいじょーぶなの?」
おかげで灰慈くんはすんなりと受け入れてくれたらしい。
「全然大丈夫じゃない」
「だよな。ふみ、バスケ嫌いだよな」
そうなの。お兄ちゃんたちが経験者だから幼い頃からバスケは身近で見ていたけど、バスケってちょっとした格闘技だ。
身体がぶつかるから腕や足はアザだらけだったし、顔やデコルテの引っかき傷は日常茶飯事で、突き指や捻挫はおろか骨折もある。危なくないプレイなんてないって言っているし、だからこそパパもあたしにバスケを教えなかった。
「球技大会、いつだっけ?」
「えっと……三週間後?」
「じゃあ週末は俺が練習に付き合うよ」
「!本当!?」
「ふみに日焼けさせんのいやだし、ラウワンに行こうか」
「行く!」
なんてことだ。さっきまで確かに不安で、まるでこの世の終わりとでも言わんばかりに悩んでいたのに、灰慈くんが付き合ってくれると言うだけでわたしは世界一幸せになってしまう。



