だから、これは単なるわたしのエゴかもしれないけれど、ざらついた気持ちは残したくないなって、思った。
「青葉くん、こないだのね」
青葉くんを見上げる。青空のようなその人は無垢な目線をわたしに寄越す。曖昧なバトンは届かなかったようで、「うん?」と、彼は首を傾げた。
「言ってくれたでしょ?期待を持たせる方が残酷だって。わたしの気持ちを知って彼女を作ってた灰慈くんは、最低だって」
ほじくり返すのはあまり好きじゃないけれど、青葉くんにはきちんと伝えるべきだと思ったの。
「最低とは言ってないよ」
「(言ってなかったっけ)」
まあ、記憶なのでその辺の曖昧さはゆるしてほしい。そんなことよりも、本題は別だ。
「今思い出すと、確かにショックだったけど、わたしも子どもって立場を利用して最低なことしてたし、それ以上に特別扱いされてたこと思い出したの。それでも全く幻滅してないし、ずーっと好きなままって逆にすごくない?」
「それは確かにすげえよ」
「でしょ!だから、灰慈くんからちゃんと答えを貰うまで、わたしは自分の気持ちを大事にしようと思ってる」
決意表明のような言葉を吐き出す。吐き出したことによって、ちょっとだけ軽くなる。言えてよかった、勝手に完結させる。
「久遠寺はそれでいいかもしれないけど、俺はやだなぁ」
しかし、青葉くんは塞き止める。
「やだ?」
「うん、やだ」
否定を重ねられ、不安に陥ってしまう。



